栄養障害型表皮水疱症(DEB)の治療

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DEBの治療は皮膚のケアと全身療法(栄養管理・かゆみ対策)が中心でしたが、患者さんの傷口に直接アプローチし、傷口の改善を目指した治療法もあります。

皮膚のケア

【参考】特定非営利活動法人表皮水疱症友の会DebRA Japan編集. 表皮水疱症(EB)赤ちゃんのためのガイドブック~新生児・乳児のケア~. 照林社, 2019, p.8-22

洗浄

  • 感染を予防するため、基本的に毎日洗浄をします。
  • びらん部の痛みが強いときは生理食塩水を用いて洗浄をします。(びらんへの対応については下記参照)(生理食塩水は1Lの水に対し約9gの食塩を溶かしたもので代替可能)
  • 湯の温度は体温に近い38℃程度に調節します。
  • 泡タイプの弱酸性の洗浄剤で包み込むように洗います。

※皮膚の表面がはがれて、ただれている状態

保湿

  • 皮膚は乾燥するとバリア機能が低下するため、必ず保湿ケアをします。
  • 保湿剤にはローションタイプやクリームタイプ、軟膏タイプがありますが、皮膚の状態や使用感によって使える製品が異なるので、医師に相談しましょう。
  • 保湿剤の使用量の目安は「フィンガーチップユニット」を参考にしてください。
フィンガーチップユニットとは?
  • 人差し指の先端から第1関節までチューブを絞り出した量が約0.5gで、これが大人の手のひら2つ分ほどの広さに塗る量に相当するという塗り方です。(ローションでは1円玉くらい)
  • 軟膏やクリームはたっぷり塗ることで十分な効果が得られます。

排液(水疱の処置)

  • 水疱ができると、周囲に向かって広がろうとするため、早めに穿刺(せんし:針などを刺して穴をあけること)して、水疱内の滲出液を抜き、傷が広がらないようにすることが大切です。
  • 水疱を穿刺するための器具として、注射針や替刃メスなどがあります。使いやすさや廃棄回収方法も含めて、医師に相談しましょう。
  • 穿刺のポイント」を参考に、安全に行うことが大切です。
穿刺のポイント
  • 水疱に対して水平方向に穿刺すると安全に行えます。(垂直方向には刺さない)
  • 水疱の膜(水疱蓋)は取らずにできるだけきれいに残しておくと治りが早くなります。水疱の膜を残したまま、穿刺したところへ滲出液を追いやるようにやさしく押しながら排出しましょう。

被覆(ひふく:創傷被覆材の使用)

  • 水疱内の滲出液を抜いたら、傷の治癒を促進させるために、創傷被覆材で保護します。
  • 創傷被覆材は皮膚にくっつきにくく、痛みが軽減したり、傷口からの滲出液を吸収しつつ乾燥させすぎないように調整したり、水疱をできにくくするなどのメリットがあります。
  • 創傷被覆材は、傷口からの滲出液の量や部位によって、製品の厚みや粘着剤の有無など適切な製品を医師と相談のうえ、選択します。
  • 表皮水疱症患者の場合、在宅用で必要と医師が判断する創傷被覆材や薬剤、医療材料などが「在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料」により、月1回保険適用で支給されます。
在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料とは?
  • 医師から自宅における皮膚処置の指導を受けると、自宅で使用する物品(ガーゼ、包帯、絆創膏などの衛生材料)が支給されます。
  • 自宅で特定保険医療材料(特殊なガーゼや絆創膏)や水疱を穿刺するための器具(注射針や替刃メスなど)を使用する場合、保険が適用されます。
  • 在宅難治性皮膚疾患処置指導管理料の算定は、医師が行いますので、詳しくは医師にご相談ください。

*びらんへの対応

  • びらんができたら、まずは泡で洗浄して弱めのシャワー水、または生理食塩水で傷口を洗い流します。
  • 細菌などの感染が疑われなければ、通常は消毒をしません。
  • 洗浄した後は、傷口にくっつきにくい非固着性シリコンガーゼや非固着性吸収性ドレッシングを使用するか、適度な粘着力のある創傷被覆材を貼付します。

※皮膚の表面がはがれて、ただれている状態

全身療法(栄養管理・かゆみ対策)

【参考】稀少難治性皮膚疾患に関する調査研究班による2014年最新版「表皮水疱症Q&A【一般・患者さん向けパンフレット】」[https://kinan.info/Documents/hyohisuihosho_qa2014.pdf(2026年3月閲覧)]
特定非営利活動法人表皮水疱症友の会DebRA Japan作成. 表皮水疱症 EBライフガイドブック[2024年10月改訂], p.5

全身療法(栄養管理・かゆみ対策)の図解:栄養管理(粘膜保護、のどのつかえ、栄養不足、食道狭窄)、かゆみ対策(冷やす、お薬)について説明しています。

栄養管理

  • 粘膜を傷つけにくい食事の選択:かたい食べ物は口腔内や食道に水疱を作る原因となるため避け、おかゆやスープにしたり、飲み込みやすく栄養価の高い補助食品を活用しましょう。
  • 「のどのつかえ」への対応:食道に水疱や潰瘍ができると食事が通りにくくなります。つかえを感じるときは無理をせず、流動性の高い食事(おかゆ・スープなど)で粘膜の回復を待ちましょう。
  • 慢性的な栄養不足への対策:滲出液や出血によって栄養分が漏れ出ることで貧血や栄養不良に陥りやすいため、経口摂取が難しい場合は胃ろうや点滴など、積極的な栄養補給を検討します。
  • 食道狭窄時の専門的な処置:長期間食事がとれない場合は「食道狭窄」の可能性があるため、医師と相談のうえ、バルーン拡張術などで食道を拡げる処置が必要な場合があります。

かゆみ対策

  • かゆくてひっかいてしまうことは、表皮水疱症を悪化させる最大の原因です。
  • かゆくて我慢できないときには、冷やしたタオルや保冷剤でかゆい部分を冷やすことが有効な場合があります。
  • かゆみがはげしい場合は、かゆみ止めのお薬で対処することもあります。

傷口の治療

患者さんの傷口に直接アプローチし、傷口の改善を目指した治療法もあります。詳しくは医師に相談してみましょう。

ヒト体細胞加工製品

患者さん自身の健康な皮膚の細胞を培養し、移植する方法

ヒト細胞加工製品のフロー

※画像は横にスクロールできます

遺伝子治療用製品

DEBの患者さんに不足している遺伝子(7型コラーゲン)が入ったゲルを傷口に直接塗布して治療する方法

遺伝子治療用製品の図解

Not all blisters are the same. Could yours be DEB? Ask your doctor about a genetic test for DEB