DEBで最もよく見られる症状は、皮膚が非常にもろくなることです。
皮膚がもろいことで、水ぶくれや傷、瘢痕などができたり、皮膚の感染症が起こったりします。また、DEB患者さんでは、爪の成長が遅れる、爪が厚く黄色くなるなど、手足の爪にもトラブルが生じることがあります。
DEBがほかの型のEBやほかの皮膚疾患と間違われることも少なくありませんが、DEBは重篤な合併症を引き起こすリスクが高く、正確に診断することが重要です。
DEBの症状は他の型のEBやその他の皮膚疾患と類似していることがあります。
DEBには顕性(優性)栄養障害型DEB(DDEB)と潜性(劣性)栄養障害型DEB(RDEB)があり、どちらの型でも限局型から中等症、重症まで、重症度は多岐にわたります。また、DDEBとRDEBの双方に共通する症状やリスクもあります。
限局型のDDEB
中等症のDDEB
中等症のRDEB
重症のRDEB
手足の爪の形や色、質に変化がみられる
摩擦、やけど、その他の損傷によって皮膚にできる、液体がたまった袋状のふくらみ
皮膚にできる小さな白いぶつぶつ
傷口から開いた皮膚に細菌やウイルスなどの病原体が入り、感染を起こすことがある
皮膚が開いている、または損傷している状態
皮膚が完全に治癒しなかった場所に残る跡
皮膚の色に変化が生じる
瘢痕化によって、手や足の指が癒着することがある
DEBには、外からは見えない症状もあります。
皮膚に現れる症状だけでなく、DEBは目や口、消化管、泌尿器など、さまざまな臓器や体の機能に影響を及ぼすことがあります。
画像出典:(限局型DDEB): Orphanet Journal of Rare Diseases, 5, Fine JD. https://ojrd.biomedcentral.com/articles/10.1186/1750-1172-5-12 より転載。2010;5(1):12:1-17.著作権(2010年)。ライセンスはhttps://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.0/に準拠。(中等症DDEB):JAAD International, 2, Rogers CL, Gibson M, Kern JS, et al. A comparison study of outcome measures for epidermolysis bullosa: Epidermolysis Bullosa Disease Activity and Scarring Index (EBDASI) and the Instrument for Scoring Clinical Outcomes of Research for Epidermolysis Bullosa (iscorEB). 2021;2:134-152より転載。著作権(2021年)。Elsevier社の許可を得て転載。(中等症RDEB):Journal of Tissue Viability, 30, Wong T-W, Yang C-C, Hsu C-K, Liu C-H, Yu-Yun Lee J. Transplantation of autologous single hair units heals chronic wounds in autosomal recessive dystrophic epidermolysis bullosa: a proof-of-concept study. 2021;30(1):36-41より転載。著作権(2021年)。Elsevier社の許可を得て転載。(重症RDEB):Actas Dermo-Sifiliográficas (English Edition), 110, Imbernón-Moya A, Maseda-Pedrero R, Feito M, de Lucas R. Dilated cardiomyopathy in a child with recessive dystrophic epidermolysis bullosa. 2019;110(1):81-83より転載。著作権(2019年)。Elsevier社の許可を得て転載。
正確なDEB診断に至るまでには時間がかかり、困難を伴うこともあります。
DEBは出生時に診断されることが多いものの、見逃されることもあります。症状が似ているために、ほかの型のEBやほかの皮膚疾患と間違われることもあります。また、症状が大人になってからあらわれ、診断が遅れることもあります。症状が現れてから正確な診断に至るまでに時間がかかることも少なくありません。
目に見える症状 |
DEB |
単純型EB |
接合部型EB |
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水ぶくれ |
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傷 |
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爪が厚くなったり、変色したり、はがれたりする |
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瘢痕 (はんこん) |
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稗瘤腫 (ひりゅうしゅ:ミリア) |
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皮膚の異常な色 (色素沈着) |
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皮膚感染症 |
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口の中の水ぶくれ |
目に見える症状 |
DEB |
その他の |
特定の自己免疫疾患† |
特定の感染症‡ |
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皮膚の水ぶくれ |
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皮膚潰瘍 |
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瘢痕 (はんこん) |
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皮膚の発赤 |
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爪のトラブル |
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感染症 |
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炎症 |
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目や口のトラブル |
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消化管のトラブル |
* その他の遺伝性水疱形成疾患には、表皮融解性魚鱗癬(ぎょりんせん)や手湿疹などがあります。
† 特定の自己免疫性水疱形成疾患には、線状IgA水疱性皮膚症、水疱性類天疱瘡(るいてんぽうそう)、尋常性天疱瘡などがあります。
‡ 特定の感染症は、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群などです。
EBと診断されている人でも、自分がどの型のEBなのか、DEBなのかどうか知らない人は多くいます。
皮膚がもろくなるという症状はEBのどの型でも共通ですが、DEBは重篤な合併症を引き起こすリスクが高いため、正確に見分けることが重要です。
EBの各型には似たような症状も見られますが、DEBは他のEBよりも将来的に重篤なリスクや合併症を引き起こす可能性が高いとされています。
そのため、自分の症状がDEBによるものかどうか把握することが重要です。
DEBによるすべての傷に対して慎重な対応が求められる理由を見ていきましょう。
正確な診断の重要性
Not all blisters are the same. Could yours be DEB? Ask your doctor about a genetic test for DEB